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天野山金剛寺「日月山水図屏風」開帳 [絵画]

天野山金剛寺にある「日月山水図屏風」以前の記事に載せていますが、この5月5日に本物の開帳があり、本坊畳の間で50㎝位の至近距離からとても鮮明にに隅々まで観ることができ、観客も少なく十分堪能することができました。レプリカの時は分厚いアクリルガラスが横たわっているような感じがあってなにか寄せ付けない何かが横たわっていて本当に何も見えなかったし、何も感じることが出来なかったのです。今回全然違ってなんと言っても絵と自分の間になんの隔たりも感じなかったことが大きかったと思います。受け入れ、受け入れられた感じがありました。イメージを広げることができました。感動ものでした。それに住職の方とお話しもでき、全仏教全仏事になんの知識もない私ですが、この屏風が灌頂(かんじょう)という密教の議式の時に置かれるもので、作者不詳ではあるけれど、この金剛寺近くの絵師かもしれないと住職様の薦めもあって、ハイキングコースにもなっている近くの施福寺へ行き槇尾山の頂上を眺めに行きました。すると槇尾山は確かに少し屏風絵の緑の山の形に似ている感じもしました。

sannsuin.jpg

この金剛寺、明治の初めまで女人禁制であった高野山に対し、女人高野と呼ばれていて女性の参拝が許されていたのでこの屏風絵も女性のために描かれたのかもしれません。益々興味深くなってきます。
でこの灌頂(かんじょう)という言葉、勿論仏教用語で「頂上に水を灌(そそ)ぐ」という意味で以下はコトバンクからの抜粋です。
在家の人々を対象に曼荼羅(まんだら)中の一尊と縁を結ぶ結縁(けちえん)灌頂、出家者のための初歩的な灌頂としての受明(じゅみょう)灌頂、密教の完全な真理を体得して阿闍梨(あじゃり)となる者に金剛界・胎蔵界の真理を伝える伝法(でんぽう)灌頂の3種があるとありました。
詳しく興味ある方はこちらへ

兎に角観れば見るほど感動する屏風絵なのかもしれません。私はレプリカを前回観ましたが、同行の友は本物2回目です。回数を重ねれば重ねるだけまた違ったものが観えて魅了されてしまうのだと思います。
来年は国宝になっているだろうとのことですので、11月の開帳はもう一度観て確かめたいこともあるので、是非行っておかねばと、こんなに身近で容易に観ることができなくなるのではと思っています。
描かれた当初から構図の大胆さは変わらずあったとしても、銀箔は白くもっと華やかでモダンなものだったのかもしれないし、元あった状態を想像することへの興味は尽きないけれど、経年劣化して今この状態で我々を魅了し、生き続けてきた本当に不思議に満ち満ちた絵です。
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コメント 4

つぐみ

見に行かれたましたか。
見るべき人が見るとその価値がわかるんでしょうね。
誰が描いたかわからないけれど国宝になるなんて凄いです。
白洲正子も訪れるはずですね。
by つぐみ (2016-05-07 20:45) 

mirro

つぐみさん
馳せ参じて行きましたよv(´▽`*)
レプリカの時よりももっと近くで観れて最高でした。
当初をデジタルで復元した画像見ましたが
趣は全然違いました。
白洲正子はさんは、修行僧が日々の修行の中で感じるままに
描いたのだろうと予想を立てていますが、
私は女人高野というのが少しひっかかって、
女性の参拝、灌頂があってあの絵が描かれたのではないかななんて
勝手な妄想を逞しくしています。
セクシャアリティも見えてくるんですよね。
ハハなんてこった★

生き続けて、、、いやぁ~なんとも不思議な絵です。


by mirro (2016-05-07 21:50) 

つぐみ

>女性の参拝、灌頂があってあの絵が描かれたのではないかななんて

確かに丸い柔和な山々は女性を意識したのかもしれないですね。
田舎での作品のせいか?すごく伸び伸びした感じもあって「女性」はキーワードかもしれないですね。
by つぐみ (2016-05-09 19:55) 

mirro

つぐみさん2度もコメント有難うございます。
レプリカの時はなにか寄せ付けない何かが横たわっていて
本当に何も見えなかったし、何も感じなかったんですよね。
今回同行の友人が少し密教に知識があり、
住職さんとお話しができてこのお寺・絵のことも少し
わかったこともありましたが、
なんと言っても絵と自分の間になんの隔たりも感じなかった
ことが大きかったと思います。
受け入れ、受け入れられた感じがありました。
イメージを広げることができました。
確かめたいことがあるので、11月にもう一度観に行きます。
すっごく楽しみなんです。

by mirro (2016-05-09 23:44) 

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