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「ビューティフル マインド」 [本・雑誌]

先日DVDやCDの棚を眺めていたら2001年アカデミー賞主要4部門を受賞した ラッセル ・クロウ主演の「ビューティフル マインド」が眼に入ってきた。うん?このDVDはうちのものではないぞよー。。。
一体全体どこからやってきたのだろう? むむっ・・もう20年も前の作品だし(*´Д`;)

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でもDVDを見直してみると、まざまざと記憶が蘇り、、
2017-04月頃に読んだ本、森田真生さんの『数学する身体』の話を友人にしていて、その中で数学者の岡清のこと、ナチスのエニグマを読み説いた、アラン・チューリングのこと、特に、黎明期のコンピュータの基礎理論に関する仕事をしていた「アラン・チューリング」の暗号読解のことを話題にしていたら、「ビューティフル マインド」のジョン ・ナッシュ博士も同じように、政府組織から敵国であるロシアの通信暗号解読を強要され、幻想の中で、その極秘任務の重圧に彼の精神は次第に侵されていった、けれど、愛する女性アリシアの献身に支えられ結婚し、映画の中では「Happyend」だった。ノーベル賞や数々の賞をもらった実在のジョン・ ナッシュ博士から、この映画の話になり、この友人からDVDを貸してもらったのだ、と、思い出したのだ!

「ビューティフル マインド」のジョン ・ナッシュが見ていたルームメイトのチャールズやバーチャーという諜報員も、彼の幻影であったこと、で、、私が友人に「もしかして、今私が見ている貴方は実在の人物じゃないかもしれないね(;´∀`)全ては幻影かもしれないね。。」といったら、「そんなことナイナイ」って大笑いで否定したのも思い出した(^^)/。。不思議が交錯した現実だった((ノ∀`;)))[exclamation]

でも、多かれ少なかれ人は幻影を持って生きているのではないか?ナッシュはそれに苦しめられたけれど、私が6才の頃、近所の4才の女の子は、自分のおもちゃを持って家のベランダの下で、ひとりで『○○ちゃん』と会話しながら遊んでいたし、幻影が欲しくて薬を飲む人もいる、ひとりで物事をする人、想像・創造が欲しい人は必然なんじゃないかなと思う。

アラン・チューリングは幻想のなかで不可解な亡くなり方をしているし、ジョン ・ナッシュ博士の自動車事故死にも不審があると友人は言っていた。


で、今日はとっても良いお天気で世間は桜色☆☆でも何故か「黄色」に遭遇したくなって、近所の公園へひとっ走りー。。
いろんな黄色と出会ったけれど、とりあえず今回は青い空に映える【ミモザ】を。。。

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わたしを離さないで『 Never Let Me Go』 [本・雑誌]

2017年ノーベル文学賞受賞・英文学作家のカズオ・イシグロ氏の小説『わたしを離さないで Never Let Me Go』(2006年)は 映画・舞台・テレビドラマで演じられ話題になりました。私はこの小説は元よりそれらのメディアも感知しませんでした。先日友人との話しの中で、生体移植も含めてこの小説の話になり読んでみようと思いました。

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読みたい本がある時はまず、図書館で借りてざーと眼を通し、読み切れるようならamazonで購入するのが常でしたが、、図書館で借りた少し薄汚れたこの本の語り口に惹かれ読み進むうち、クローン人間の子供たちが将来臓器提供の目的で収容されている施設の話だと判り、最初は嫌悪感があり、最後まで読み切れるかなと思いながら、本を区切りで置く度に、少し薄汚れたこの本の所為もあったのか、毎回手を洗わずには要られないそんな状態でした。で、購入も憚られていたのです。

クローン人間としての使命は免れ無いものがあるなか、施設の保護官は提供を猶予出来ないかと、計らう教育を試みていましたが果たせず、子供達が成長し他の施設に移った後、施設は崩壊し成長した子供達はやがては何度もの提供で命を失っていきます。

読み進めて行くと作品は不思議さと奇妙に満ちて語られ、施設での人間関係、成長する子供達の恋愛、その彼等の表情や動き、物言いが、私の中で生き生きと着色され、色彩豊かに鮮明に立ち上がって自由に動きまわるのです。一方丹念に詳細に語られている風景描写は、物語りに重要な役割りを果たしているのに、そこは想像は出来ても、それらの風景は立ち上がって来ません。風景は人物のバックとして抑制されているに違いない、詳細に描かれた空間処理だと読み進みました。

読み続けていると、、人間自身が造ったクローン人間でありながら、彼らへの偏見差別が描かれ、今我々の社会に入り込んでいる差別、【COVID-19】に関することもそうですが、いろんな差別に通じるものがあるのではと、普遍的な問題を孕んだ小説なんだと考えられ気付かされました。人間愛に満ちた心揺さぶられる作品です。

今、医学は進み、魂を持った人間に成長させることなく、ES細胞やiPS細胞は、再生医療に用いる細胞状態になって、立体的な臓器を創れる世になるのでしょうか?(詳しい知識はありません)
ただ人間は自分の手足を使わず、道具を使い、もの事を成し遂げるように進化し、手足だけではなく脳までも人工知能に託す様になりました。そして人間はクローン人間を道具として使うのでしょうか。"人"を"モノ"として消費している今をも見ます。。

何処かで、クローン人間は造られつつあるのでしょうか?不妊治療に役立つのでしょうか?そして生殖に寄って生み出された人間は、無性生殖で造ったクローン人間と共存するようになるのでしょうか?
発行から15年経った今をも文学として示唆していると感じました

この本を読んでいる日々に、室内の百合の蕾が開き初め、あまりに強いその香りは、自然界の匂いから遠く感じられてしまいました。

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同窓会誌 [本・雑誌]

グラフィックデザイナーの「長友 啓典」氏がこの3月に亡くなられています。先日送られてきた高校同窓会誌の表紙は、その先輩長友 啓典氏が【母校創立100周年記念ポスター】としてデザインされた絵が表紙になっていました。鳥よりも犬猫の方が観察しやすいし猫よりも犬の方が人間くさくて面白いと言われていたようですが、この絵はいつもの犬ではなく穏やかな鳥が描かれていて『丘をつくる百年』と氏の字も書かれています。著作権のこともありここに掲載できないのが残念です。Creator Gallery に追悼やイラストが掲載されています。
この作品は1967年 日宣美賞受賞の「ジャンセン」です。
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因みに我が母校は1996年に100周年を迎えています。

そして長友氏の絵のこともありますが、今回もう1つとても興味深い寄稿がありました。
『70年前の受験票』という記事で終戦翌年昭和21年に受験された方のものです。

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70年前の受験票が出て来たというのも凄いことですが、それも受験番号が1番ということだったのです。この時期に旧制中学校から新制高等学校への移行があり男女共学になっています。

そしてまだまだ驚くべきことがあって、
受験は口頭で質問があり、
①、公徳心とはどういうことですか。どう思いますか。(他人の事を考える余裕がなかった戦後の混乱期です:ご本人の注釈です)
②、塩の生産地はどこですか。製塩法について答えてください。
あと体力テストがあって校舎屋上を走り、小学校からの内申書で合否が決められたようです。

とありました。
終戦の混乱期でこの様な受験であったのかと思われますが、この質問を見て思いました。
最近の公立高校入試がどんな風に変遷しているか詳しく知る立場にいるわけではないのですが、今の受験もこのような口頭で、シンプルでありながらその時代の社会情勢を鑑みた難しい”問い”を孕んだ 受験問題があってもいいのかなぁ~と思ったりしました。

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「セバスチャン・サルガド」写真集 [本・雑誌]

偉大な写真家「セバスチャン・サルガド氏」の写真集「Genesis」と「Sahel」を手にしました。
「Genesis」はこの地球を遺そうという意志のもとに撮られた壮大なドラマを写しだした自然への畏敬と美との素晴らしい芸術作品写真集です。今私の手元にあって作者への敬意と尊厳に打ちひしがれています。
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「Sahel」はサハラ砂漠周縁の乾燥地帯で、そこにに暮らす人々の飢餓の現状を 撮えた作品集です。
これは今友人が持っていて、「鍋をかぶって子供を連れで逃げる女性の写真と、ビデオを作ったディレクターが最初に衝撃を受けた盲目の女性の写真も入っていて、大きさは小さいですが手元にあって嬉しいです」と言っています。私はまだ観ていませんが人間に照準をあわせていて、一瞬の安らぎをも感じることができない状況のもとに置かれた人々を撮らえ、悲惨でありながらも、画面はどこか美しいのではないかと思っています。
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後述:私のコメントからです。
今私が手にしている写真集「Genesis」はこの地球の、実際我々が見ることことができない風景、民族を写しだした美しく驚異に満ちた作品集です。そしてそれらは現実が、実存のものでありながら抽象的な表現になっているものもあり、報道写真を超えて美しい芸術作品となっていると思います。
そして、そこに、そいったものを守らなければと言ったメッセージも私は感じました。その両方があって偉大なんだと思います。

セバスチャン・サルガド氏のメッセージをご覧ください。






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裸の王様 [本・雑誌]

先週、開高健さんの文学碑が近鉄南大阪線北田辺駅に完成した。
そこは、彼が若き日過ごしたところで、駅からほんの少し東へ行ったところに
『開高 健』と表札が掲げられた家がある。

私も若き日そのほとんどの毎日を、その表札を横目でみながら駅へと向かった。

子どもの頃から、あそこは『開高 健』という、えらい作家の家なんだ、
と人々が口にするのを聞いていた。
芥川賞をそしてその他いろんな文学賞を受賞した作家が、嘗て住んでいた家であること、
そしてその頃通っていた学校の先輩である事も承知していた。ゆかりの人なのである。
その家の前を通るたびに、私は太く大きく、しっかりと書かれた表札に圧倒され、
そして、出入りする人を一度も見たことのない人気のない家に一抹の不安のようなものを感じ、
芥川賞を受賞したいろんな作家を興味を持って読んでいたにもかかわらず、
私は彼の作品の数々を紐解けないでいた。

除幕式があり、文学碑が完成したというニュースを聞き、
家のイメージだけが私を捉え、多分その表札の呪文から開放されずにいた何十年。
彼の芥川賞受賞作『裸の王様』をやっと読むことができた。


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