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【特別展】白洲 正子ときもの [絵画]

この展覧会は阪急うめだギャラリー で10月9日既に会期を終えていますが、アップが今頃になってしまいました。
白洲正子さんはその随筆集『かくれ里』で並大抵ではない行動力と素晴らしい感性を持たれた方だと知り、このブログでも何度も記事アップしている河内長野金剛寺の『日月山水図屏風絵』の存在を知らしめてくれた随筆集でその作家には特別な想いがあります。彼女の屏風絵の評と私のこの屏風絵の見方・想いに違いはありましたが、私が熱狂的にこの屏風絵の虜になった切っ掛けは白洲正子さんとこの随筆集「かくれ里」のことを話してくれた友人に感謝しています。随筆集には書かれていないことが私には見えました.。今、屏風絵はフィレンツェのウフィッツィ美術館へ出向いていて、例年の11月3日の開帳はありません。帰国後は国宝になるのかな?と思っています。

これは金剛寺屏風絵の記事です:
http://mirro.blog.so-net.ne.jp/2016-01-07
http://mirro.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06
http://mirro.blog.so-net.ne.jp/2016-11-05

会場に入って直ぐこの打掛がありました。
「菊牡丹梅立湧文打掛」
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同行の友と私は本当に同時に「憎いねー」と顔見合わせてしまいました。何とも可愛いくて、美しくて、それにどの模様もひとつとして同じなのがなく決して対称になっていない。

着物と帯それにちらりと見える八掛等の取り合わせが絶妙で、日常の普段着までも素晴らしい芸術作品でした。。この日本人が持っているこの感覚を世界の人達が絶賛しているのに、日本人は気が付かなかった。男性のネクタイもこんなデザインのを〆るとどんなに素敵だろうと思ったりしました。

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それと田島隆夫さんという織物作家の方が描かれた彩墨画(白洲正子が付けた呼び名)が数点あってその一番左端にあった絵に惹きつけられました。桜の花枝が一輪、陶器ともガラス瓶ともとれる花瓶の口は、向う側は描かれていなくて、何も決めつけられていなくて、桜の花も瓶も全て観る側の想いに委ねられているそんな絵がありました。一体こんな絵を描く方はどんな方なんだろうと。

田島隆夫さん、この方は白洲正子さんと店主と職人という出会いから、得がたい友人となるまでの20年間絵を添えた白洲正子さんへの手紙は、彼女をなぐさめ励まし魂と魂が響き合い、二人の手紙の交流が遣され文筺となっている【白洲正子への手紙】。。。また読んでみます。
織物も他の絵も素晴らしいものでしたが、この桜の花一枝と花瓶の絵は、澄んでいて何物にも捉われないその自由さが私の心にも大きく響き、未知に暖かい何かかあるだろうと思わせてくれました。

白洲正子さんが田島さんの作品を見に行った数日後の文:
今年も、個展に並べる絵を選びに行って、三百枚くらいの中から六十枚程選んだ。何時間もかかる。疲労困憊する。途中で一休みしてちょっとウイスキーを飲み、すっかり終ってからゆっくり飲ませてもらい、夜中の三時頃になって帰ろうとするところで、田島さんが、どこかその辺から巻いた織物を三本か四本とり出して私に見せた。どこかその辺というのは私が酔っているからで、織物はまるで手品のように私の眼の前に現れたが、その美しさに私は感動した。 あの感動は何だろう。単に美しいものを見たという、それだけはないのだ。うまく言えないので寝言みたいなことになってしまうが、この頃、私ははかなさということをいつも思っている。人生もはかないし美もはかない。どっちみち、いずれはみんな消えてしまう。あとには何も残らない。残るとすれば自分のためにしたことではなく、他人のためにしたことだけが残るのではあるまいか。田島さんは織物を織るとき、それを着る女の人を美しくするために織る。田島さんの織る布は、田島さんを離れて、どこかで誰かを美しくするためにそこで生き、そこで残る。 そのことに私は感動したのだ。一年に一度私は田島さんの家に行き、行けば必ず何かだいじなことを教えられる。今年もそうだった。
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つぐみ

行ってこられたのですね。
私なんか、ザーッとしかみていないのにきちんと鑑賞されていてさすがです。

「紬辻が花文胴服」1番好きでした。


by つぐみ (2017-10-17 20:02) 

mirro

田島隆夫さんの彩墨画に出会えて良かったです。
着物のコーデも最高でしたね。
なんでも一流ということはスゴイことです。

by mirro (2017-10-17 22:06) 

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