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天野山金剛寺「日月山水図屏風」 [絵画]

白洲正子さんの随筆『かくれ里』を友人が愛読していて、「白洲正子さんの世界は最高」ということだったので、その時その『かくれ里』をちょこっと読ませて見せてもらいました。

その中に河内長野の天野山金剛寺にある重要文化財「日月山水図屏風」のことが書かれていて、その本の画像を見て驚愕、一双の片方は独創的でダイナミックな緑の山があり、もう片方には雪景色の山があってこれがまたなんとも不思議で、それぞれに太陽と月が朧げに描かれているところも心惹かれ、この屏風絵はぜひ観に行かなければと、このお正月に観に行ってきました。

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ところがお正月の開帳はレプリカで、5月と11月に本物は公開ということでとても残念でした。レプリカといっても遜色ないだろうと思っていたのですが、レプリカと言う先入観があるためか、この日の感じる力が弱かったのか、もう一つ自分の中に入って来なかったのです。屏風の立て方もかなり深く角度があり、1枚の絵として観にくかったのです。おかしいよなぁと思いながら、もうこれは5月の本物開帳の時の出会いを楽しもうと、後は広々とした境内や堂内の国宝、沢山ある重文を見て回りました。大きなりっぱなお寺なのです。お正月も4日だったので参拝客も少なく静寂を楽しんできました。が、平成の大修理とかで、足場が組まれたり、良く写生に来た多宝塔も赤い柵で囲まれていてちょと残念でしたが・・・

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本物とレプリカの違いを5月に確かめられるのがとても楽しみです。

で、今日は白洲正子さんの「隠れ里」から、この屏風絵のところを引用させていただきます。
白洲正子さんのこの文章に出合えてなかったらここへは来ていませんし、この感想も体験したくて来ました。

これを読むと「日月山水図屏風」のファンが増えるだろうな?あんまり増えるのも厭だな~(;´▽`*)

「一双の片方には、春から夏へうつる景色を描き、片方は、秋から冬へかけての雪景色で、前者には日輪を、後者には月輪を配している。目ざめるような緑の山と、月光に照らされた冬山と、どちらをとるかといわれると返答に困る。これほど一双が対照的で、優劣の定めがたい屏風はない。春の山は今桜が盛りで、いつとはなしに夏がおとずれ、やがて目をうつすと、紅葉の峰から滝が落ち、はるかかなたに雪を頂いた深山が現われる。その麓をめぐって、急流がさかまき、洋々たる大海へ流れ出る風景は、日本人が自然の中に、どれほど多くのものを見、多くのことを学んだか、無言の中に語るように見える。」

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つぐみ

白洲正子さんが一文を書いておられたのでしたか。
あの絵からこんな文章は浮かんできませんわ(苦笑・当たり前ですね。)

金剛寺のサイトをみているとあの奥殿での展示のようでした。
その写真を見るとやっぱりあの金色は目立ってました。
置き方に期待して再度来訪してください。

そうそう、昨日の朝日新聞で龍谷ミュージアムでこの絵が展示されるのを知りました。4月から5月にかけてなんですがきっと期間限定なんでしょうね。
平成の大修理の費用を稼ぎにあちこち出張させられてるんでしょうか?

by つぐみ (2016-01-08 22:18) 

mirro

つぐみさん
白洲正子さんのこの文章がなかったら、ここへは来ていません。
この文章にも惹かれ、体験したくて来ました。
この日は感じる力が弱かったのかもしれません。
5月にこの奥殿で同じ場所での出会いを楽しみにします。


by mirro (2016-01-08 23:23) 

りつこ

素敵な屏風を見に行かれたのですね。(*^^*)

美しいものはいくら観ても飽きないですよね。

次回はモノホンを是非観てください。

実物は、きっと色彩が深く重厚感あるんだろうなぁー。

近代的な屏風って無いのでしょうか?

素人でも自分の思うような絵を描いて屏風を作る~。家に飾る~

あ、偉くお金掛かりますよね~(;´д`)
by りつこ (2016-01-15 00:39) 

mirro

りつこさん
この屏風は室町時代のもので作者も不明なんです。
その頃で残っているのはこの絵だけなんだそうです。
この頃の日本人は自由に山や川、自然を捉え、
こんな風に絵にできたのかなって思います。
それとも観念的?概念的?なものとして捉えているのかな?
わからん!!(*ノωノ)

う~ん、、しっかしこんな風に描けるってね!(^▽^)!

by mirro (2016-01-16 15:49) 

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