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豊島美術館(西沢立衛)/《母型》(内藤礼) [絵画]

瀬戸内海に点在する島のひとつ、ここ豊島にあるこの豊島美術館の建物と一体となった内藤礼さんの作品《母型》、体験したいと思いながらやっと果たせて行ってきました
以前の記事にアップしていますが、友人のその作品を観ての感想と内藤礼さんの“答えがひとつということはありえないし、わからないものを見ていることができるという不思議 “というインタビューの文を読んで共感しとても惹かれ、想いは膨らんでどんな作品だろうと妄想激しくしていました。

DSC_0292c.jpg
建物内は勿論撮影禁止でこれは外観です。

コンクリートの床の小さな穴から生まれて来る水滴「おやっ~」一瞬留まり、つつっーつとikimonoのように動き、他のikimonoと一体となり並びながらくねくねと動き回り、別なikimonoに生まれ変わったりする。それらがあちこちに生まれている。
この〚母型〛と名付けられた作品は、確かに作品自体の不思議さと、それを内在させている低い大きな貝殻のような曲線を持った天井、そこには青空が見える大きな二つの穴があり、、広さ40×60m、最高高さ4.5mの空間に柱が1本もないこのドーム型建物、西沢立衛氏の設計と相まって、とても優れた前衛的な作品になっていると思いました。
その大きな開口部から太陽光が射し風が感じられ、鳥はさえずり蝉が鳴き蛙も鳴く黒い鳶も舞っている。コンクリートの床に座り寝ころびその自然を大きく感じた時、風に乗ってやって来たゲジゲジ、迷い込んで来た天道虫達の殆どは元の広がった青い空へ帰ることなく、このコンクリートの上で水滴と私が差し伸べた指先との間で息絶える。このコンクリートに覆われた空間、一体これは何なんだろう、なぜ自然を感じさせながらも、全てを大きく開くことなく、こんなコンクリートで遮断しているんだろう、、自然の中で大きく開かれていても良いのではないかと。この美しい形状は凄い技術で持ってこの作品を内在させているし、もちろんこの建物がなければこの不思議なikimonoは存在できないという矛盾も感じさせられたのです。これは優れたアート作品なのです。。。。

ここ豊島も“ベネッセアートサイト直島”という活動で島内は大きく変化し、その変貌ぶりは、島内の自然、人々の営みにまでにに及んでいると感じました。そのことはまた次回にアップします。他の美術館の様子などと共に。

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つぐみ

豊島に行かれたんですね。
ちょうど娘が行ってきたところです。
あぁ、私も豊島、直島行きたいです!
by つぐみ (2015-08-07 19:52) 

mirro

つぐみさん
どこまで自然を取り入れるか、
アートと自然の矛盾を考えさせられました。
ぜひ行ってください。
不思議な空間であることは間違いないです。
体感してください。
by mirro (2015-08-07 23:35) 

猫爺

こんにちは。
まだまだ知らない作家の方っておられるんだな、
ってしみじみ思いました。

この方の《母型》と言う作品ってどんなの?と調べたら、
作品は作品でも建築物?巨大なオブジェ?不思議な仕掛け?
まさか内藤さんがセメントを練って作られた訳じゃ無いでしょうし、
アイデアというか、頭の中の『設計図』が作品と言う事でしょうか?

作るための費用も個人が出せる金額じゃないでしょうし、
今、話題の新国立競技場みたいに、強力な背景は必須。
そうなると、もう個人の世界を逸脱して、
時代の流れが作った「ツール」のようにも思えてしまいます。

ローマの遺跡とは比べるべきじゃないかも知れませんが、
100年先にははたして残されているのかな?と
つい余計なことを考えたりして動画を拝見していました。
(ネット上で内部を公開されていましたよ)

あ、mirroさんがファンだったらご免なさいね。


by 猫爺 (2015-08-10 14:36) 

mirro

猫爺様
いつも有難うございます。
記事にも書いていますように、内藤さんの作品はこの建物なくして
ありえないし、アイディアは内藤さんのものですが、それを作品にしたのは
西沢さんであり、工事を請け負った人々のものですよね。

建築のことは良く判りませんが、天井に大きな穴が2つもあるし、
脆弱な感じがしますし、ローマの遺跡の様に2000年の時を超えることは
出来ないのじゃないかなと思います。。

>豊島美術館は、内部も外部もなく自然と建築とアートが、
>完全に一体となり切り分けることのできないような作品

というようなコメントが見受けられますが、私はそうは思えません。
建築とアートは一体となっているけれど、自然と一体などしていないし、
我々が描く絵と同じであくまでこの作品は虚構のもので、現実との
はざまで、揺れ動いているものではないかと思っています。
そこに何かがあるんじゃないかと想わせる、そういったものを感じさせる力
感じ取る見方にこそ意味があるんじゃないかと。

この作品にそういった真の力、本当に真の力があるかどうか?
でもそういったことを含めての作品かなと思えました。
曖昧なものゆるやかなものそれが魅力のように思えます。。

by mirro (2015-08-12 00:43) 

りつこ

こんちわ~(*^^*)

又々素敵な所へお出掛け~
何だか虫君達を食べるウツボカズラの丸っこい偏の建物みたいな(@_@)

外観はとても未来的で宇宙人の住みかみたいな、とても興味が湧き惹かれますね。

円を基本に○円の美しさ神秘さを現しているのでしょうか?

○□△他色んな立体感と生命の共存みたいなの沢山見たいですね。

空間も千差万別皆想像する様子は様々でその空間こそ今、我の思想なりなんでしょうか?


アートは素敵ですね(*^^*)勉強になります!
by りつこ (2015-08-14 00:14) 

mirro

りつこさん
すっごい想像力ですね。
実際に観ることなく、この画像とこのうすっぺらな文章と
もしかしたらNetで断片をみられたとしても
これだけのことを感じ文章にされるって
すっごい事だと思います。

おっしゃる通りです。建物内、天井は極力低く設計されていて、
楕円に包まれて、宇宙人の住処のようでもあるし、
もしかしたら子宮を感じることも出来ると思います。
そこを這いつくばうikimono

想像逞しくなさる前に是非是非に現物をご覧くだされまし!(^^)!
そしてもっとすごい想いを語ってくださいまし。




by mirro (2015-08-14 23:49) 

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