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Mark Rothko [絵画]

ずーと気になっていた川村記念美術館所有のシーグラム壁画のための作品を観に行ってきました。
Mark Rothko晩年の作品で、ニューヨークのシーグラムビル内の〚フォー・シーズンズ〛というレストランの壁面を飾るはずの作品だったのが、出来上がったレストランの空間を彼が気に入らず契約を破棄してくれたので、高級レストランに配置されることなく、今こうして、身直に観れることになったのです。なんともラッキーな事だと思いました。そんな高級レストランにこの私が身をおけるだろうかと?
その作品達はここ千葉県佐倉市:川村記念美術館、ロンドン:テートモダン、ワシントン:ナショナルギャラリー、ケート・ロスコとクリストファー・ロスコの所有で全30点があるそうです。
ロスコルームと呼ばれる暗くて静かな空間で、ロスコとの不思議な密接な体験がありました。。

rothkoc.jpg
Untitled 1958年 246.8x252.1cm

今まで観てきた作品達とは全く違っていました。
室内は7点の作品がロスコが望んだという照度で展示されていて、とても暗いのです。
以前のような明るい色面はなく、暗い部屋に静かに配置された作品が、ロスコが描いた大きなikimonoが、自分と対峙するのではなく、暗闇の中ただ揺らめき、僅かにざわめく波だけを感じさせられました。色面と色面のせめぎ合う主張もなく、そして矩形と矩形のあの微妙な曖昧な境界線さえなく、誘われることもなかったです。でも時と共に微妙でありながら力強い赤褐色が、私の内なるものへ深く大きく響き、何かが押し寄せてきました。
暗闇が少し明けてそこにはローマで観た遺跡、悠久の時を超えて崩れ行きながらまだ今、こうして存在していると感じた同じものが息づいていました。ロスコの絵には死と儚さ希望そして今生きているという官能もそこにあると感じました。
ロスコのような偉大な作家と同じとは思わないけれど、どこか私が常々感じていたものをロスコも感じていたに違いないと思えたし、これ等の作品の中にその想いを見ることができたのです。


☆画像は全然色が違います。どんな印刷物もあの微妙な色は出せないです。


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コメント 6

つぐみ

行ってこられたんですね。
いろいろ感じられたこと、多いと思います。
これからの制作にも後押ししてくれそうですね。

気になるのが売却された絵の部屋はどうなっているのかしら?と。
俗な話で申し訳ありません^^;
by つぐみ (2015-07-03 19:45) 

mirro

つぐみさん
本当に深淵というか奥深いというか、
正直どう表現していいかわかりません。
レストランなんかにかけて欲しくなかったです。
ロスコもどこかでそれを拒んでいたのでしょうね。

はは(´▽`*)レストラン壁面のその後ですね、
作品のその後ははっきりしていますが、
部屋はどうなってるんでしょうね?
その後どんなインテリアになったのでしょう?
ニューヨーク、シーグラムホテルに泊まって見てください(*^^)v


by mirro (2015-07-03 21:43) 

猫爺

おはようございます。

Mark Rothkoと言う画家のことは全く不勉強ですが、
(ウイキペディア先生に教えを請いました)
没後もこうして作品が引き継がれていることに
教えられることが多い気がします。
作品だけで言えば、
おそらく観る人にとって好き嫌いが分かれる作家かと思いますが、
一貫して自分の姿勢を貫いた生き様は、賞賛に価する気が。

私事ですが、
絵も写真も小説も、一つ一つの作品それぞれの出来不出来で無く、
その作家が生前何を目指し、
精神的に何を得てきたのか、また失ったのか、
結果もさることながら、その過程の方に関心が向いてしまいます。
作家って、作品で無くて、
結局、作家そのものがアートなのかも?とか。

自死の道を選んだ作家も多いけど、
活動の結果としてその道に至ることで成就したのなら、
人眼には奇異に思えても、本人には安らかな死だったかも?とか。

もっとも、そんなぐちゃぐちゃした生き方で無くて、
ぱっと咲いてぱっと散る、
自然そのものの生き方も良いかも、なんて思ったりも。

結局それぞれがそれぞれの生き方をするしかないのでしょうね。


by 猫爺 (2015-07-04 08:33) 

mirro

猫爺様
いつも有難うございます。
以前からロスコの1950年代頃の矩形の色面と色面の
微妙な美しさに惹かれていました。
でもこれ等の昨品を目の当りに観て、精神、内面に深く訴えて来る
何かを感じました。
おっしゃるように、精神的に何を得て、また失ったのか、だと思います。
自分の絵が世界の人々に賞賛され、観る人の精神を
揺さぶるような絵が描けるとは思いませんが、
絵を描くことで、知り、教えられたことが今の私を形成してると
思っていますし、それらで得たその想いが絵を描かせているんだと
思います。
人間それぞれの生き様が、それぞれの芸術なんでしょうね。


by mirro (2015-07-04 23:34) 

りつこ

この絵は~(@_@)?!

この表現は~(@_@)!?

マーク・ロスコのいっぱい、いっぱいを感じる~(@_@)
いっぱい、いっぱい。

イッパイ、イッパイで誰か助けてよ~!

イッパイ、イッパイの行き着く所は無の世界しか無いのかな?


上品な作品の様で狂気過ぎる作品こんな表現が出来るロスコは凄いですね。
怖いし凄い。

生きる意味と生きたく無い間イッパイイッパイの思いと向き合わないといけない葛藤の作品の様に私は思えました。

こうやって、皆それぞれの感覚で解釈していく感じる事思う事の自由さがあるから芸術は面白く深いのかも(*^^*)

ミロさん良かったですね!
実物の色・雰囲気は感激で圧倒されるんでしょうね。

遺作は気を斬る~ヘイヘイホー・ヘイヘイホー♪

あ、与作は木を切る~でした。(*^^*)
いつも、勉強になるblogありがとうございます!
by りつこ (2015-07-08 21:23) 

mirro

りつこさん こんばんわ(☆´▽`*)
この絵を観て何を感じ、なにものをも感じないか、
もうそれは様々だと思います。
貴女の言うようにロスコはもういっぱいいっぱいだったかもしれない。
制作の喜びを感じながら、死を感じていたのかもしれない。
それでいて画面は美しいんです。

今私は不安と不思議と儚さとそれでいて力強く官能的で
なお美しいものに惹かれてしまいます。
これって厚かましい?( *´艸`)


by mirro (2015-07-09 01:49) 

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